2012年1月25日水曜日

雪に誘われて

日曜の夕方のニュースで、「明日の夜半から、都内では雪が…」なんて言っていたのを耳にしたものですから、夫と顔を見合わせ、明日は東京泊まりに!と即決。
麻布十番近くにある、いつもの宿を予約しておいて大正解でした。

月曜の夜には、市ヶ谷の私学会館で、医学ジャーナリスト協会の新年会があったのです。今年のゲストスピーカーは、鳥越俊太郎さん。‘ニュースの職人’として、鳥越さんが昨年出版された、自らの闘病レポート『がん患者 』を読んでいたので、直接ご本人からお話をお聞きできる良い機会だと思い、夫と出かけることにしていました。

この日の記念に、持参したご著作『がん患者 』にサインをいただきました。
今年最初のゲルソン療法ワークショップに参加して下さった、ある大腸がんの女性患者さんは、
「テレビで鳥越さんを見るのが励みなのです。
鳥越さんも私と同じ大腸がんでしたから。
でも、最近はレギュラー出演される番組が無くなりましたよね、お元気なのかしら」、と少し心配そうに、寂しそうに仰っていました。現在の鳥越さんはというと、レギュラー番組が無くなった以後もお仕事は増え続けているとか。がんになる前よりも、仕事量はむしろ増えている、とお話しされていました。元気でご活躍されている様子でしたよ。

鳥越さんと夫殿とのうふふなツーショット。

新年会がお開きになり、麻布十番の駅を出ると、そこは雪国!翌朝になって、部屋の窓から外を見てみると、やっぱり一面銀世界でした。家もビルも、道路も、見えるものはすべて真っ白になっていました。
宿には小さな日本庭園があり、その雪景色がまた良かった…。ところが、雪景色に浮かれていた私たちに悲しい知らせが待っていました。この朝、とてもお世話になったある方の訃報に触れることになったのです。宿のすぐ近くにお住いだったので、ここに泊まった翌朝には、いつもご挨拶に伺うことにしていました。今年は年始からお目にかかれると、南房総のお花を持参したのですが、それは御遺影の前に飾られることになりました。77歳でした。ひょっとして、天から雪を降らせ、私たちが御遺影に会いに行くように仕向けたのは、その方だったのかもしれない…。いたずらっ子のような無邪気な笑顔が思い出されるばかりです。
それから私たちは上野公園へ。
中国国外に初めて出されたという『清明上河図』の展示が注目されている特別展で、すでに見に行った友人から、「この絵巻物だけは2時間待ちだったので諦めた」、と聞いていました。
さて、本日は? なんと、「5時間待ち」でした。平日なのに、どうしてそんな長蛇の列が、と思ったら、私たちが行った日、『清明上河図』の展示最終日だったのです。悩みましたが、流石に5時間列ぶ自信も無く、それ以外の展示だけを見ることにしました。それでも館内に入るまでに50分待つことに。(ラッキーなことに、『清明上河図』も、列の脇からほんの少しだけ拝見することが!)
この日は、めずらしい雪景色の上野公園も満喫してきました。すっかり葉を落とした裸の樹の枝に雪が積もり、そこに太陽の光が差すと、桜の花が咲いたような美しさ。中国の古い宝に負けずとも劣らずの自然の美。その雪の予報に誘われ、泊まりを決めて出かけた東京では、いろいろなことが私たちを待ち受けていた、そんな二日間でした。