2016年2月12日金曜日

常識は、わりと簡単にくつがえされるんだよね

明日の講座のテキストを書いていて、驚いたこと。

重金属が体内にどれほど蓄積して健康を害しているのかを知る方法に、「毛髪分析」というのが知られている。

体毛は、皮膚によく似ているところがあって、どちらも体の奥底に溜まった不要なものを、体の表面に押し上げて出してくれる。

だから、有害な重金属、たとえば水銀や鉛などが体内に入った後には、それが皮膚や体毛を通して外へ追い出されるから、その毛を切り取って重金属の出具合を見れば、かつてどれくらいの重金属が体内で悪さをしていたかが推測できる、というわけだ。

毛髪分析で測定される重金属でよく知られるのは、水銀だ。
水銀は、農薬、歯科治療の銀歯、ワクチンの防腐剤などに使われていて、うつ、自閉症、ADHD(注意欠陥多動性障害)の発症に関係しているといわれている。
だから、こうした症状に悩まされて、原因がわからないときに、毛髪分析を利用したりする。原因がはっきりすれば、それを体外へ出し切るための治療手段を決めることができるからだ。

講座のテキストを作るのに、いろいろなことを調べていたら、そのことが出てきたのだけれど、「自閉症の人」と、「そうではない人」との毛髪分析をすると、「そうではない人」のほうが水銀値が高く出るというのだ。

それで、驚いた。

なぜそうなるか。
「自閉症の人」は、水銀が体内に入ってきたときに、それを外に出す代謝に障害があるから、出せずに溜め込んでしまう、それで病気になるというのだ。その結果、毛髪にも水銀はあまり出ない。

こうなると、「毛髪分析」でわかるのは、その人の重金属蓄積量ではなく、重金属排泄能力なのかもしれない。

同じことは、血液でも言える。
血液は、つねに循環して恒常性(ホメオスタシス)が働いているので、その中に溶けている成分の濃度はあまり大きく変動しない。何か変化が起これば、すぐに自動制御が働いて、もとの何事もなかった状態に戻してくれる。それが血液だ。

だから、じつは、多くのがん患者さんの血液検査結果は、腫瘍マーカー以外、ほとんどが基準値(正常値)内におさまっていたりする。

だけど、がんにはなっている。

それじゃあ、どこがおかしくなっているかというと、血液循環の先にある小部屋「細胞内」で異変が起こっている。
細胞内の異変は、血液検査ではわからない。
だって、まったく別な場所だから。

そして、がん化している細胞内の様子は、健康な細胞とはまるで違うことになっている。

自然療法で解毒力をつけてやると、細胞内にあった病気の原因が、細胞外へ追い出されるようになる。細胞外とは、たとえば血液のことだ。

だから、自然療法をはじめた後のがん患者さんの血液は、はじめる前の血液よりも、いろいろな波風が立っている。
一見、「なんだ、自然療法をやったほうが血液が悪くなったじゃないか」ということが起こるのだ。実際は、細胞内にあった問題を、外に追い出したから、波風が立ったのである。その後は、血液におびき出されたものたちを、肝臓が無毒化して、便や尿、汗、呼吸で体外へ出すことになる。

それで思い出したのは、女性のための美容液のコマーシャルでよく聞く「ターンオーバー」のこと。
皮膚細胞のターンオーバー(生まれ変わりの周期)は諸説あるが、28−56日といわれる。2ヶ月もすると、皮膚はすべて入れかわっている、ということになる。

けれども細胞が生まれ変わるには、細胞を作る材料、生まれ変わりに必要なエネルギー、生まれ変わりのスピードを決めるホルモンが無ければダメで、美容液の成分以外にも、これらすべての栄養材料が揃っていなければ、2ヶ月待っても古い皮膚のままいることになる。

だけど、コマーシャルで「皮膚のターンオーバーは2ヶ月なので…」と聞くと、「ああそうなのか」と、常識としてインプットしてしまいがちだ。

だから、うっかり常識だと思い込んでいたことが、ちょっと自分の頭でおさらいし直してみただけで、わりと簡単にくつがえされることがある。

案外、それが、世界的な発見につながったりするから面白い。

とにかく、自分の頭でおさらいすればいいんだ。