ものすごく心細い気持ちでいたとき。
何ということなく札幌のパタゴニアに入ったら、店内に置いてあった写真集。
さみしくて、心細くて、でもそんなときでも、一時、‘ひとは微笑むことができるのだ’、と教えてくれたのが、伊藤健次さんが撮った、野生動物たちの写真でした。
「たとえば谷間から差し込む朝日
空を映す草の葉のしずく
エゾシカがスッと起きあがり
遠くからクマゲラが樹を打つ音が響き始める
誰に見せるわけでもなく
夜が明け、森が目覚めてゆく」
『山わたる風』 伊藤健次
誰かに見せようとして着飾ったのとは違う、自然の潔い美しさを見ながら、私は北海道で育ったんだよなぁ、と思い出させてもらいました。
なぁんにも考えられなくて、頭がまっしろだった私は、ようやく小さな目的を一つ見つけることができた嬉しさから、その足で、パタゴニアの店員さんに教えてもらった札幌駅近くの紀伊國屋書店へ行き、この写真集を買いました。
宝物の一冊。
今は、北海道の自然が、心配。