2016年1月28日木曜日

学びと癒し

「お世話になっております。
氏家さんには、学びと癒し、を本当に分けていただいています。
だからこそ、学んだことも、癒される心も、大切にしたい気持ちがあふれてきます。
本当にありがとうございます」。

昨年3月、ご家族のがんの治療のために、「ゲルソン療法・治療法ワークショップ」で学んでいただいたかたからのお便りです。

現在は、自然治癒についてもっと深く知りたいということから、自宅学習講座「ダイエタリー・ヒーリング研究会」でも、自然治癒力について毎月学んでいただいています。

患者さんであるご家族は、毎日のゲルソン生活のなかで、一歩一歩、回復の階段を昇っているところです。
最近、少しずつお仕事にも復帰され始めました。

そんなご家族の治療生活を一番近くで支え、生計を工面し、子供たちを育てて、両親にも配慮をする、という毎日を過ごされているかたからのお便りなのです。

忙しくて緊張感があり、ときには厳しい選択を迫られる、そんな私たちのふつうの生活の中で、このように手書きの心温まるお便りを届けていただけることに、深く感動してしまうこの頃です。

今、こういう日を迎えるまでに、私はいろいろなことを経験させていただきました。
ご返事は、このお便りをくださったかたのために書いたのですが、私にたくさんの経験を与えてくれたみなさんにもお伝えしたいと思い、ここに、そのご返事の一部を掲載いたします。

「前略
 いつも心のこもったお便り、有難うございます。

私がご紹介している知識は、それだけで、十分に価値があるものだと思っています。
でも、価値ある知識だけ手に入っても、そう簡単に癒されるものではない…っていうのが現実なのですよね。

そのことに気がつくまで、私は知識を伝えることにしか気が回らず、相当多くのかたたちに寂しい思いをさせてしまったり、心を傷つけてしまったり、してきたと思っています。

してきてしまったことを、消すことはできません。
これは、正直、辛いものです。
この辛さが、私の大人のほろ苦さ、の一部を形成していると思われます。

ですから、とにかく、これからできることをしよう、そう思うことにしました。
その一環が、知識だけではなく、それを笑いとともに届ける、ということです。

始めてみると、なかなか難しいですね、人を笑わせるということは。
実際、「お笑い芸人」という職業の人たちが今はたくさんいますが、笑えない芸人さんもかなり多いように感じます。

夫が私よりも27歳年上で、落語好きということもあり、カーステレオなどで古今亭志ん生の落語をよく聞きます。
ああやって、辛いことや悲しいこと、情けないことでも、人を心から笑わせて、慰められ、生きる力を与えられる芸人はすごいなと尊敬します。

まあ、そこまでは無理だとしても、癒しの知識を総合的に!お届けしたいと、今の私は思っています」。

生きることを真剣に考えることは、いつでも、誰にとっても、緊張感でピキーンと張り詰めるような作業だと思います。
それをお届けする場や時間に、せめて、リラックスを添えていきたい、そんなふうに思っています。

みなさん、ありがとうございます。

2016年1月18日月曜日

「最近、体の調子が…」


今日は、南岸低気圧の影響だとかで、首都圏でも雪が積もったというニュースやFBを随分見ました。
たしかに、昨日の夕方から、こちら南房総でも、冷え込みがズンズン深くなっていく感じがありました。

朝食後、「海、見に行こう」とノリノリの夫殿と、ホットドリンク持参で千倉海岸へ行ってみると、海から吹いてくる風はなんだかちょっと、あたたか。
でも、海面はウネリと風でぐしゃぐしゃなので、釣り人もサーファーもゼロでした。




毎朝、朝食前に自作のトレーニングスペースでウェイト・トレーニングをしている夫殿。
先週末に、ひとことつぶやいた言葉が、すごかったのです。

「最近、体の調子が良くってさー」。

夫殿は誰もが驚くほど若々しく、それは本人の努力の賜物だよな、と近くで見ていて私も思うのですが、もうすぐ71歳です。
日本が、戦争をしていない年月と同じ年月を生きてきたわけで。
「最近、体のあちこちが調子悪くてさ」と言うのがふつうだと思うのですが。

「体の調子が良くってさー」と、嬉しそうに話している人が近くにいるのはとても幸せな気分です。

そして、私がやりたかったことは、こういうことだったのだ、と思い出しました。

最初に就職した会社で、健康情報の雑誌を作る編集部にいたときのこと。
立場上、健康にまつわる情報には毎日触れるのですが、「情報に触れているだけでは健康にはならない」、ということに、徐々に気がつくようになりました。

雑誌編集者、という仕事に就いている人たちは、たいていが、不健康の見本のようなライフスタイルになることを知りました。雑誌のカテゴリーが、たとえ、健康雑誌であっても、です。取材の打ち合わせは、近所の喫茶店で、コーヒーとタバコで一服しながら、という日々でした。

会社員でありつつ、取材と執筆や編集作業に集中する不規則な生活のなかで、食事や睡眠、運動などを健康的なスタイルに革新するのは簡単ではありません。何をすれば良いかという情報を持っていても、それを自分の不規則な生活に組み込むことは至難の技です。

…ということは、「健康になるにはどうすれば良いか」という情報を知っていても、その情報を使ったときに「本当に健康になるのか、なったのか」、このままではいつまでも検証することができない。それに、私自身が健康の質を上げられないばかりか、他の職業に就いている人たちよりも病気になりやすいかもしれない。誰よりも健康情報が集まってくる場所にいるのに…。
そう思うようになりました。

この先も、健康情報を伝えることを仕事にするなら、「本当に元気になったよ」という実感がともなった言葉を伝えたいよなぁ、と思ったのです。
それも、できるだけ長期的に有効で、安全な情報を。

フリーランスになった私たちが、ここ十数年をかけておもに取材をしてきたのが、顕微鏡を使った血液分析の世界と、末期がんの患者を驚異的な高確率で治したマックス・ゲルソン医師のゲルソン療法について、です。

同じ十数年をかけて、自分たちも、自身の血液を時折観察しながら、「ほぉー、なるほど今日はこんな感じか」とか、「きのうぶつけたケガのダメージが、もう血に出てるよ、すごいな」など、自分の体との距離がどんどん近づくことを経験してきました。

それから、ゲルソン療法の食事やその他のツールが、私たちの日常食を、徐々に、高割合で占領するようになっていきました。「食事はゲルソン食にしましょう」と取り決めたことは、じつは、長年ありませんでした。「本当に良さそうだから、やってみたいよね」という心からの興味があって、その優先順位が高くなってから実行する、というのが自然な流れだと思うからです。それで、自然に、毎日がゲルソン食というスタイルに近づいていきました。そうするほうが、体の調子が良いし、機嫌もいい、仕事もうまくいくからです。

私がやりたかったことは、まさに、こういうことだったのでした。

となりに、71歳で「本当に元気になっている」人がいるのは、本当に幸せです。
私も、寒いんだけど、朝トレしよっかなー、どうしよっかなー。



2016年1月11日月曜日

油の小冊子がリニューアルされました。

みなさん、こんにちは。
2003年に第1刷を発行していただいた小冊子、『誤解されすぎた「油」の常識』(あした研究会)が、デザインも新たにリニューアルされました。

ちょっと、ビューティー!な感じの表紙だと思いません?!

私が書いた食用油のお話を、10年以上の長きにわたって、たくさんのかたがたに読んでいただいているなんて、ちょっと信じられない思いです。
有難うございます。

この小冊子は、食用油の正しい知識を啓蒙する目的で作られ、配布されている非売品ですが、原稿執筆のご依頼をいただいたのは、今は亡き、大石芳子さんからでした。

大石さんは、ご自身の乳がん経験に端を発し、自分で自宅でできるがん再発予防に取り組まれ、その経緯で出会ったカナダ産のオーガニックハーブエキス、フローエッセンス+(フローラ社)を日本で適正価格で提供するために奮闘された、とてもエネルギッシュな女性。

この油の小冊子も、正しい油の知識を啓蒙したいから、ということで原稿執筆のご依頼をいただきました。

フリーランスになりたてだった私は、会社の社長を務めていた大石さんに初めて呼ばれた日、とても緊張していました。どのような服装でお会いしようかと、初々しい悩みを抱いていました。

相手に失礼の無い格好で、でも、就職活動中の女子大生みたいに個性のないフォーマルウェアで出かけるのはイヤだ、と思ったことを覚えています。

そして、当時、持っているなかで一番気に入っていた、Y'sのジャージー素材でできたリラックス感がある、薄いベージュ色のパンツスーツを着て出かけました。
たぶん、化粧はせずに。

大石芳子さんは、ひまわりのように顔が咲いている人で、光がバーッと出ているような方でした。お洒落なかただということが、一瞬でわかりました。
だから、「今、この方は、私のことをどう思って見ているのだろう…」と、不安になりました。

そんな私のことは気にも留めず、ご挨拶後、終始ニコニコ顏の大石さんはそのまま小冊子の打ち合わせを進めてくださいました。

お仕事の話が一段落したとき。
ニコニコ顏の大石さんが突然、「それで氏家さん、あなた、どういう人になりたいの〜?」と私に尋ねられたのです。ニコニコしながら。

ちょっと驚いたのは、私はこの質問をされるのが初めてではなかったからでした。

初めてこの質問を私にしたのは、アメリカのヘルスフリーダムを教えてくれたジャーナリストのマイケル・カルバートでした。
ロサンゼルスでだったか、ティファナだったか…。
たぶん、メキシコのティファナにあるホテルで、一緒にライブバンドの演奏を聴きながら二人で話をしていたときでした。

内心、「どういう人っていわれても…」と、初めて問われた質問の答えを探す私。
それで、考えた末に答えた返事が、「自分にふさわしい人になりたい」、でした。

これを英語でどう言ったのかは覚えていませんが、持っていた辞書のなかから言葉を探して、そのページを指差して伝えました。suitableやbefitだったかもしれませんが、記憶は定かではありません。
とにかく、「私は私に似合う人になりたい」のであって、「似合わない自分にはなりたくない」と思い、それを伝えました。

マイケルは、それに対してこう言いました。
「exquisite !」

「?…」、な私が再び辞書を取り出すと、今度はマイケルがそれを取り上げてページを開いてくれました。

「この上なく素晴らしい」、という意味でした。

学校の教科書には出てこなかった、ちょっと複雑な発音がする単語で褒められたのがとっても嬉しくて、私は自分の答え、「ふさわしい人になりたい」、にその後とても自信を持つようになりました。

その後、同じ質問を何人かのかたに問われた記憶があります。
私の答えはいつも同じですが、相手のかたの反応はさまざまでした。
どのかたも、その世界での実力者、と周囲から認められているようなかたばかりでした。

大石さんに、「自分にふさわしい人になりたい」と答えたときのこと。
こんな言葉をかけていただきました。
「あなた、それはもう十分にそうなっているわよ、とっても素敵よ」。
そして満面のニコニコ顏。

声も小さく、モジモジした態度で、とても「そうなっている」感じではなかったはずなのですが、大石さんのこのときの言葉が、私を「より私らしい人」にアップグレードさせてくれたように思います。
その後も、大石さんには幾度もお世話になり、とても可愛がっていただきました。

そんな大石芳子さんとの思い出の詰まった、油の小冊子。
タイトルを決めてくださったのも、大石さんでした。
「誤解され過ぎた油の常識」、という本タイトルはすぐに決まりました。

打ち合わせ中、私が、「品質の良い油は、まるで、そうですね…、搾りたてのジュースのように栄養が豊かで、滋味深いものなのですよね」と言ったとき、「それ、すごくいいわね」、と大石さんが副タイトルに採用してくださったのでした。

リニューアルされたこの小冊子、私の手元に100部いただいたばかりですので、これからお会いする機会があるかたには、差し上げたいと思っています。
どこか別なところで手に入れられたかたも、是非、油を上手に使って、健康づくりにお役立てください。

2016年1月4日月曜日

今年初めて見た夢

私のホームページ「ヘルスフリーダム」を新しく作る作業中、今のお仕事ができるようになるまでに、自分(私)を作ってくれた人たちのことを考えていました。

そのかたたちのお顔は、頭の中ではつぎつぎと溢れるように出てきますが、すべて説明付きで書き出していくと、それだけで一冊の本になってしまうので…。

「ヘルスフリーダム」という名前をインスパイアしてくださったかた、2名のお名前だけを、タイトルページでご紹介させていただきました。

マイケル・カルバートと、本田錦一郎先生。

英語の本を開くと、よく最初に「Acknowledgement」というのが書いてあって、簡単な「謝辞」とその気持ちを捧げる相手の名前が並んでいます。
最近、自分の中で、この「Acknowledgement」が重みを増してきている、そんな感じがします。相応の歳をとり、相応の経験をした、ということかもしれません。

そして、カルバートと本田先生のお名前だけで失礼してしまったからなのか…、

今朝がた、今年最初に見た夢(正確には、見て忘れなかった夢、ということですね…)で、今村光一先生が出ていらっしゃいました。

今村先生は、そう多くはないのですけれど、絶妙なタイミングで私の夢に現れます。

あるとき、カナダとアメリカの国境地域にある、亜麻仁油の老舗メーカー、オメガ・ニュートリッション社を訪問するという先生にくっついて同行させてもらったときのこと。
バンクーバーにあるフォーシーズンズホテルのレストランでの会食時。まだ20代のヒヨッコ編集者だった私の経歴について、オメガ社のスタッフが「彼女はジャーナリズムをどこの大学で学んだのか?」というようなことを先生に尋ねてきました。間髪入れず先生が言ったのが、She trains herself.「彼女は自分で学んでいるんだよ」。

「それが何か問題でも?」と続きそうなトーンだったのを覚えています。
なぜだか、このとき先生が言ったこの言葉がずっと忘れられずにいます。

今朝の夢は、先生も私もよく知っているある組織の何十周年かのお祝い行事の場で、会場に来た先生を見つけた私が近づいて行って、握手を交わす、そんな夢でした。
その場はあたたかな光につつまれた平和な雰囲気で、先生の笑顔がとてもやさしく、何より驚いたのは、私が差し出した片手を先生が両手で包んで握手をしてくれたことでした。それも、満面の笑顔で。
私が知っている今村先生は、シャイであることがいつも前に出ている感じだったので、握手や笑顔には照れが見え隠れしており、その行動にも一捻りあるはずなのに。

先生の手は、あんなに大きくて、立派だったかしら?
夢なのに、人の手の細部までよく見えて、驚き、だから目が覚めた後でも覚えていたのでしょう。

先生、またいつかお会いしましょう。
会いに来てくれてありがとう。

2016年1月3日日曜日

本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

こんにちは。
新しい年の初めに、「ヘルスフリーダム」のホームページを新しくいたしました。

http://healthfreedom.jimdo.com

「ヘルスフリーダム」は、「健康」の「自由」という意味の英語です。
「健康」を育て、その質を高め、必要な時には取り戻す、これを「自由」にできる知識と実践力を求めて、私はジャーナリスト活動をしています。

「ヘルスフリーダム」という言葉を使うとき、この英語の背景にある重い歴史を教えてくれた米国人ジャーナリスト、マイケル・カルバート(1937-2004)のことを思います。そして、「フリーダム」という英語が持つ厳しさをエーリッヒ・フロムの講義で教えてくれた英文学者、本田錦一郎先生(1926-2007)を思い出します。

健康情報があふれ、健康問題に惑うことの多い時代に、「ヘルスフリーダム」から発信される情報を少しでもお役に立てていただければ幸いです。
2016年1月3日
氏家京子