2011年12月9日金曜日

‘治療食’と‘健康食’

シカゴでの勉強の日々が続いています。

新しい世界を知ることは、とても楽しく、毎日ワクワクしながら過ごしています。
‘知りた~い!’という気持ちは、なんだか恋心に似ているようです。

さてさて、この7年間、ゲルソン療法を皆さんにお伝えしてきたなかで、

「ゲルソン療法でがんが治った後は、どんな食事をすれば良いですか?」
「がんではない人にとっても、ゲルソン療法がいちばん良い食事ですか?」

というご質問をよくいただいてきました。
2~3年の治療生活が終了した後も、ゲルソン・スタイルの食生活が気に入って、そのまま続けていて、とてもお元気、という元がん患者さんはもちろんいます。
でも、それ以外の食事がまったくダメなのかというと、そういうわけではありません。

とはいえ、
「では、どんな食事が?」
と聞かれると、それに答えるのはとても難しいことでした。

「がんの治療食を知っているなら、健康食はもっと簡単なのでは?」

いえいえ、私はそうは思わないのです。
がんのための‘治療食’ではなく、健康な人にとっての‘健康食’。
それは、実際のところ、人の数だけ存在するのだろうと思います。

その人の食の好み、つまり好き嫌いによって、健康食のバリエーションは人の数だけ存在する、という意味ではありません。
一人一人、体内の化学反応には違いがある、というクールな視点から考えたときにそう思わざるを得ない、ということです。

2008年に翻訳させていただいた、『タイプ別 メタボリック食事法』には、次のように書かれています。

「私たちは、食と栄養の産業界が広めてきた『健康食』の間違い情報に導かれてきた。
万人にあてはまる健康食というものは存在しないのだ。
どんな食べ物でも、健康的だとか不健康だと決まっているわけではない。
大事なのは、ある食品や食事法が、どれだけその人の遺伝的な代謝プロセスにあっているかだ。」

がんには、すべてのがんに共通する、独特な代謝プロセスというものがあります。
ですから、がんの‘治療食’であるゲルソン療法は、その独特な代謝を修正するという目的一つに的を絞ってデザインされています。私が、ブレることなく、‘治療食’をお伝えできているのには、こういう背景があるのです。

では、健康な人たちの、それぞれの個性的な代謝に合わせた‘健康食’とは?
その代謝の個性を分析する方法は?

じつはそれを知りたくて、今回、シカゴまでやって来ました。
来て良かったことは、学ばなくてはいけないことが何なのかがはっきりしたこと。
それから、ゲルソン療法について、より深く理解するためのヒントも見つかったことです。

さて、今夜も予習と復習をしなければなりません。
残りの授業も頑張りま~す!

International Museum of Surgical Scienceにて、ヒポクラテスと記念撮影!
Dec.8, 8:40p.m. in Chicago